シティプロモーションの事例紹介

栃木県足利市のH28年から策定しているシティプロモーション戦略とその後の展開

栃木県足利市 総合政策部 まちの魅力創出課

栃木県足利市 総合政策部 まちの魅力創出課

今回の事例紹介は栃木県足利市にお伺いしました。(今回の取材も東京が緊急事態宣言中のため、残念ながらオンラインでの取材です。)

足利市と言えば、「素通り禁止!足利」などのキャッチコピーやロゴマークが有名です。意外と知らない方も多いですが、早い時期から戦略策定もしっかりとされています。前回はキャッチコピーと現在の取組の話が中心でしたので、今回は戦略についてお伺いしています。

栃木県足利市総合政策部まちの魅力創出課 前川さんと小林さん
足利シティプロモーション https://www.ashikaga-citypromotion.jp/

平成28年の「足利シティプロモーション基本方針」と令和元年の「これからの足利シティプロモーション2019」、どちらもしっかりとしたシティプロモーションの戦略を策定されていますね。

ありがとうございます。今だから思うのですが、「足利シティプロモーション基本方針」の頃は、私たちもシティプロモーションのことがよくわかっていませんでした。戦略を形にすることに一生懸命になりすぎ、目指す方向性もふんわりしたものになってしまっていたと反省しています。

(平成28年度「足利シティプロモーション基本方針」からの抜粋
https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/site/citypromotion/cpfundamentalpolicy.html )

そのご経験を生かした上で「これからの足利シティプロモーション2019」ができたのでしょうか?

そうですね。さらにシティプロモーションで有名な東海大学の河井教授からも何度もアドバイスをいただきました。

「足利シティプロモーション基本方針」の策定の時は、市民ワークショップをされていたようですが、「これからの足利シティプロモーション2019」の時はいかがでしたか?

 ワークショップはやらずに策定しています。基本方針の3年間の実施期間の間に市民の方達のお声をいただけていたのと、ワークショップをやるのはどうしてもコストがかかってしまうという点からです。基本方針で行った3年間の実施結果やデータをもとに、私たちの担当部署と広告代理店の方達に手伝っていただいて策定しました。

(「これからの足利シティプロモーション2019」からの抜粋
https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/site/citypromotion/ashikagacp2019.html

広告代理店の方も参加されているのですね。

 戦略策定時だけでなく、他の施策の実施時にも伴走していただいてとても助かっています。現在担当していただいている代理店の方達は、足利市に対しての想いももっていただけているので、本当に助かっています。私たちが長い期間、シティプロモーションができているのは、代理店の方たちといい関係が構築できたからだと思っています。

協働という観点からも民間企業とお互いの良いところを出し合ってプロジェクトを進められるのは良いですね。

代理店の方達との打ち合わせ風景は、知らないひとからは喧嘩しているように見えるくらい意見をぶつけ合っています。向こうも私たちに従っていれば、事業を簡単に完了できるはずですが、私たちが違うと思ったら「それは違う」と意見をぶつけてくれます。本当にいい会社さんと出会って良かったと思います。営業を担当している方は足利市の近隣のご出身の方で、昔から足利に買い物に来ていたようで、足利市のまちづくりに強い思いを持ってくださっているのでありがたいです。

他の自治体さんも頭を悩ませていますが、シティプロモーションの効果測定についてはどのように考えられていますか?

私たちも正直悩んでおります。特に今回の「これからの足利シティプロモーション2019」は、市外向けのプロモーションでは無く、市内向けの施策が多いので特に難しく感じます。市外向けのものであれば、広告換算価値や移住者数などで測定できると思いますが、市内向けの施策の効果測定はとても難しいと思っています。

効果測定以外に、今後の課題などはありますか?

「これからの足利シティプロモーション2019」が今年度までなので、来年度以降の戦略策定についてです。現在注力している高校生をはじめとする若者との施策が中心になっていくのですが、限られた予算と人員の中で、今までと同じような戦略を作るべきなのかということが課題です。メンバーの数も限られていますので、他の課も含めて足利市全体が目指す方向性を合わせることができれば、もっとシンプルでわかりやすいものでも良いのかなと思っております。