シティプロモーションの事例紹介

8年連続の人口増加中の明石市役所の市外向けのプロモーション(前半)

明石市役所 政策局シティセールス推進室シティセールス課

明石市役所 政策局シティセールス推進室シティセールス課

 今回の事例紹介は、多種多様な市外向けプロモーションを行って、8年連続で人口増加を達成している明石市役所にお伺いしました。

明石市役所 政策局シティセールス推進室シティセールス課長の藤田さん(写真右)とシティセールス課係長の白江さん(写真左)

明石市というと8年連続の人口増ですね。まずはこれを達成するために行っている市外向けの取り組みについて教えてください

 お陰様で私たちがターゲットとしている子育て層を中心に人口が増加しています。
明石市の場合は、「“子どもを核“としたまちづくりの推進」と「支援が必要な方に必要な支援が行き届く、誰にでも“やさしい安心“なまちづくり」を中心にホームページやSNS等で情報発信をしております。
特に本市は、子育ての施策が充実していて、「医療費が中学3年生まで無料」「保育料が第二子以降無料」「0歳児見守り訪問」などの情報が子育て層の方に届いたことにより、移住をしていただていると思います。

0歳児見守り訪問というのは、おむつの定期配送の取り組みでしょうか?子育て層の興味関心を惹きつける施策ですよね。

 そうです。0歳児のお子様がいるご家庭には、おむつ等を定期的に届けます。子育て経験のある配達員(見守り支援員)が対象のご家庭に直接届けるとともに、子育てに悩んでいるお母さんの話を聞いたり、何か異変を察知したりすることにも繋げています。

単にプレゼントをしているだけでなく、お母さんのケアにも繋げているのですね。駅前のビルにも図書館と市の施設があり、だいぶ駅前が賑やかで、小さいお子さんや学生さんも多く見かけました。

(実際のビルの写真 明石市提供)

 駅前の6階建ての再開発のビルですね。カフェやファストフード、本屋さんなど民間のお店もたくさん入っていますが、4階は図書館で5階は子育て施設、6階は市の総合窓口です。5階にある子育て施設には、未就学児が遊べる施設だけでなく、中高生が勉強をしたり、音楽を演奏できる施設もあります。市外の方の利用は有料ですが、市民は無料となります。このような施策や施設は、子育て層の方を中心に満足度が高いです。市からも情報発信はしていますが、それよりも満足度が高い市民の方からの口コミが、移住者増に繋がっていると思います。

ホームページやSNS以外での情報発信で工夫をしていることはありますか?

 いろいろと行ってはいますが、その中でも手応えを感じているのは、不動産業者と連携した情報発信です。シティセールスニュースという形で、不動産業者に情報を提供させていただいて、その情報を不動産業者が作るホームページやチラシ、パンフレットに入れていただいております。

大変おもしろい取り組みですね。それはどういった狙いで行ったのでしょうか?

(実際のシティセールスニュースの誌面 明石市政策局シティセールス推進課提供)

 私たちが頑張って市のPRをしても、最終的には不動産の購入や賃貸をしていただかないと移住は成立しません。
 また、不動産業者にとっても物件のPRだけでは不十分で、市の様々な情報を付加させることにより、お客さんも魅力を感じてその物件を選びやすくなるというメリットがありました。双方にメリットがあったのが本当に良かったと思います。
 それと、先ほども口コミの話をしましたが、市が情報発信を行って良いことを伝えるのは当然すぎて、受け取る側も全てを鵜呑みにはしないと思います。一方で、口コミや不動産業者を介して伝わることによって、効果的な情報発信に繋がったと感じています。

民間連携を行おうと思って情報発信をしてもうまく連携ができなかったという他の自治体の事例も聞きます。明石市はどうやって連携が実現したのでしょうか?

 まさにその通りで、情報発信だけをしても民間の方は動いてくれないと思います。そのため、当時のメンバーは宅建協会の研修に訪問させていただいて市のPRをするなど、不動産業者が集まるところに実際に足を運んで関係性づくりをしたそうです。

いろいろな取り組みをされたと思いますが最初から全てうまくいったのですか?

 当時担当ではなかったのですが、当時のメンバーの話を聞くと最初は試行錯誤の連続だったそうです。良かれと思ってやったことが関係する方を怒らせてしまったということもあったようです。その中で無くなった取り組みももちろんあります。現在残っているのは、当時良かった取り組みを改善したものです。