シティプロモーションの事例紹介

岩手県北上市のインナープロモーション施策と計画策定

北上市企画部都市プロモーション課

北上市企画部都市プロモーション課

今回は岩手県の内陸中部にある北上市役所の都市プロモーション課にお話を伺いました。

北上市企画部都市プロモーション課 島津課長(写真右)、小泉係長(写真左)

北上市役所は平成29年10月に北上都市ブランド推進行動計画を策定されていますが、どのような目的でシティプロモーションを行っていますか?

 都市ブランド推進行動計画にもあるのですが、主体的にまち育てに参画する人をいかに増やすかということを一番の目的として進めています。いわゆる、市内向けのインナープロモーションですね。役所が発信するよりも、北上市民お一人お一人から市の魅力を発信していただく形が理想です。

平成29年の段階で市内向けのインナープロモーションに力を入れて計画策定されているのは、他の自治体と比べてもとても早いと思います。

 そうみたいですね。インナープロモーションがうまくいっていない状況で、市外向けにプロモーションをしても本末転倒になってしまいますので。そのため、まずは市内向けのプロモーションに力を入れています。決して市外向けにプロモーションをやらない訳ではありません。

計画を読ませていただくと市内向けのプロモーションのフレームワークがとてもわかりやすくしっかりと作られていますね。

 コミュニケーションプロセスのことですね。私たちはこのプロセスに沿って、市民の状況に応じたコミュニケーションを醸成することで、まち育ての担い手を増やすプランを展開しています。
 「認知獲得・興味関心」は市民に対してまちの魅力を認知させ、興味を持ってもらいます。「共感醸成、当事者化」は納得感の生まれる情報を伝えて、まちの魅力に共感してもらいます。「魅力拡散」は自分事となったまちの魅力を、市民自ら積極的に推奨・発信していただきます。こちらはどこから始まるという訳ではなく、この図のように環状的になっているので、これらを繰り返すことで、北上に対する市民の愛着や誇りを醸成するように展開しています。

北上市都市ブランド推進行動計画の抜粋画像。コミュニケーションプロセスについてわかりやすく書かれている
画像は「北上市都市ブランド推進行動計画」より。行動計画は北上市のHPからも見ることはできる。 https://www.city.kitakami.iwate.jp/material/files/group/49/brand.pdf

それぞれのフェーズに具体的なアクションまで書かれていて、とてもわかりやすいですし、納得性も高いですね。このフレームワークはどなたが作られたのですか?

 ありがとうございます。先進地事例を参考にしたり、シティプロモーションの書籍を多く書かれている東海大学の河井孝仁教授にアドバイスをいただいたりしながら、職員自ら計画を策定しました。

計画を見ると今年度が最終年ですが、どのようなプロモーション活動をされましたか?

資料「北上市の都市プロモーションについて」より抜粋

 まずは市のホームページのリニューアルと、都市ブランドサイトを創設しました。見ていたくと分かるとおり、従来の市のページは「見にくい」「使いづらい」というお声をいただいていたので、デザインや表現を見直しました。

これはわかりやすいですね。他にはありますか?

資料「北上市の都市プロモーションについて」より抜粋

 実は2021年が「展勝地開園100周年」「第60回北上・みちのく芸能まつり」「市制施行30周年」の周年が3つも重なるキタカミトリプルアニバーサリーなんです。この北上市の節目の年にちなんで「きたかみ2021年周年記念フォトコンテスト」を行い、人生の節目や記念にまつわる写真を募集しました。審査員には北上市在住の水中写真家、高橋玲子さんにお願いしたこともあって多くの応募がありました。他にも地元の方に、お買い物のついでに北上の魅力を改めて知っていただくために、地元のショッピングセンター内で「北上市展」を開催しました。また、現在制作中ですが「北上市のひみつ」という小学生向けのコミック形式の学習漫画本を作って、地元の小学生に無料で配布する予定です。

目的に合わせて、いろいろなことをされているのですね。プロモーションを行う際に、どのようなことに気をつけて展開されていますか?

 打ち上げ花火的な一過性の取組はやらないというわけではありませんが、重きは置いていません。それとプロモーションを行う時に、ストーリーが描けるかどうかは大事にします。この施策を行って、どういう流れになって、どうつながって、どう波及するかが見えたら実行していきますね。